睡眠不足は酔っ払いと同じ!?

【道路交通法第66条】「何人も、過労、病気、薬物の影響その他の理由により正常な運転ができないおそれのある状態で車両等を運転してはいけない」

とありますが、自動車の運転をする人は、厳格な健康管理が求められます。

睡眠時間に関する実験を、ペンシルベニア大学とワシントン州立大学が行いました。

1日平均7~8時間睡眠をとっている健康な男女48名を、3つのグループ(8時間・6時間・4時間)の睡眠グループに分けて、

パフォーマンスの違いを調査しました。2週間後、8時間睡眠のグループに比べると、4・6時間睡眠のグループの注意力が確実に欠如していることがわかりました。

6時間睡眠のグループは、酒に酔っている時と同じような状態になり、4時間睡眠のグループは居眠りをしてしまう人も出てきました。

 

通常、起きてから14.5時間後には、集中力が散漫になり酒気帯びと同じレベルになると言われています。

(Dawson D, Reid K. Fatigue, alcohol and performance impairment. Nature)

日本ではこの時点(血中アルコール濃度0.03%)で飲酒運転反則点数が13点です。

 

年間交通事故の約1割が運転者の体調変化に起因していたという(滋賀医科大学の一杉正仁氏の調査)ことからもわかるように、睡眠不足による自動車の運転のリスクは高くなるということがわかります。

 

このほかに、運転に影響を与えることで言うと、眠気の残る薬剤も気を付けなければなりません。

薬剤の添付文書(正式名称は、医療用医薬品添付文書)は、薬機法で規定された製品説明書ですが、医師、歯科医師、薬剤師に対する薬剤の基本的な情報が記載されていて、運転について二種類の記載があります。

1.運転等禁止

「眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車など運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること」

2.運転等注意

「眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車など運転等危険を伴う機械の操作には特に注意させること」

 

このように、「状態が良ければ運転しても大丈夫」という、道路交通法第66条の主旨に矛盾しています。

睡眠薬や、眠気の残る薬を処方された場合は、薬剤の使用の自己責任として求められます。

 

質の良い睡眠で、健康を管理する。

睡眠をしっかりとって、薬に頼らない生活を送りたいものです。