2020/03/02
やる気を上げる! 脳内神経伝達物質
「大事なことをやる必要があるのに、やる気が出ない」という経験はありませんか?
やる気は、人間の脳から分泌される「ドーパミン」という脳内物質によってもたらされていることが科学的に実証されています。やる気がある状態とは「ドーパミンが大量に分泌されている状態」なのです。
脳科学者によれば、人間はお金や自分に対する評価など「報酬への期待を感じて」動くとき、ドーパミンが大量に分泌されるそうです。例えば、あなたにとって辛い仕事を担当しているとき、なんのメリットもなければやる気が出ないかもしれませんが、「完了すれば大金が手に入る」と聞けば、やる気が生じると思います。
例えば、課題に取り組んでいる際は「このタスクが終わったら昨日録画したドラマを観ていい」と、自分に対する「ごほうび」を設定するのです。ごほうびがあれば、作業がはかどってドーパミンの分泌量が増えます。
しかし、このドーパミンが脳内報酬により分泌されることで、依存症に関係があることがわかっています。ギャンブル・買い物・アルコール・薬物など繰り返して、ドーパミンが過剰に分泌されると、依存症を誘発する恐れもあります。
ドーパミンが長期的に分泌されると、セロトニンの分泌も抑えられます。セロトニンが不足するとライラ感が強くなります。
脳で情報をやり取りする役目をしているドーパミンは、神経伝達物質です。そのほか
アセチルコリン、ノルアドレナリン、セロトニン、といったものが60種類以上発見されています。
- アセチルコリン
⇒記憶や認知能力に関係する物質。これが不足すると認知力が低下します。アルツハイマー型認知症では、実際にアセチルコリンの減少が確認されます。
- ノルアドレナリン
⇒集中力や積極性に関係する物質で増えることにより脳の活動が活発になります。うつ病になるとこの減少がみられます。
- セロトニン
⇒気分を調節する物質。そのためこれらが不足すると、仕事や遊びに対する持続性や関心が薄らぎ、イライラ感や気分の落ち込みが生じやすくなります。つまり、うつ病の症状が出てくるわけです。セロトニンが不足すると、そこからつくられるメラトニン(誘眠物質)も不足し、眠れないといった睡眠障害が起こります。そのため脳が休養できなくなり、神経伝達物質の働きがさらに低下するという悪循環におちいることにもなります。
- ドーパミン
⇒「快感ホルモン」ともいわれるように、楽しさや心地よさといった感情を生み出す物質。子供の頃はドーパミンの分泌が盛んなので、ちょっとしたことでも楽しく感じ、大喜びします。それだけやる気も出てきます。ところが年齢とともにドーパミンの分泌量が減少するため、中高年になると物事への感動が薄らぎ、楽しいと感じることも少なくなりがちです。
ドーパミンにはもうひとつ、体の動きをコントロールする重要な役割もあります。中高年になると、体の動きがスムーズでなくなるのは、ドーパミンの減少が一因といわれています。
これら脳内神経伝達物質はアミノ酸から合成されており、食べ物や食生活と大きく関係していると考えられています。味覚、嗅覚、触覚、聴覚、視覚という五感に与える影響も強く、香り成分は特に注目を浴びています。脳の研究は、栄養・脳機能(神経)・精神的要素からの3つの側面からの必要性が高まっています。
脳機能に重要な役割を果たしている脳内神経伝達物質は、ストレスや高齢化によって生じる、うつなどの精神的疾患などで減少し働きが悪くなります。
脳の健康を考えるうえで、これらの脳内神経伝達物質の減少、また大量に放出されることを防ぐことが必要です。