『怒り』の感情のコントロール方法

新型コロナウイルス対策としてテレワークや外出自粛により、普段とは違う日常を過ごされている方が多いと思います。普段は生まれない感情に振り回され、戸惑っているかもしれません。

特に「怒りっぽくなった」「常にイライラしている」「自分に腹が立つ」といった怒りの感情で悩んでいる方が増えていると報告されています。

  • 怒りの感情は、大脳辺縁系で生じ、それを前頭葉で抑えている

私たちが何かにイライラしたり、誰かにカチンときたりしたとき、怒りの感情は脳で生まれます。

怒りの感情が起きているときは、大脳辺縁系が活発になることが分かっています。

もともとは、人間を含めた動物の本能的な行動、たとえば、「敵が現れた、不安だから逃げよう」「戦いを挑もう」といったときには、大脳辺縁系が活性化していたのです。

つまり、人間が敵から身を守り、生き延びるためには、大脳辺縁系に生じる怒りの感情は不可欠なもので、生存するためには欠かせません。

文明が発達するにつれて、そうした本能に近い感情を抑えることが必要になりました。この怒りの感情をコントロールするのが、前頭葉です。

この2つの部位(大脳辺縁系と前頭葉)の働きによって、怒りの感情は引き起こされたり抑制されたりしています。

  • 怒りのコントロール:怒りの発生と理性の発動には時間的なズレ

感情をコントロールする部位である前頭葉が、突発的に発生する怒りの感情に対応するには3~5秒程度掛かると考えられています。

つまり“イラッ”“ムカッ”としたときに、前頭葉が自然に活性化するまでの間(約6秒)待つ姿勢が大切です。

  • うまく時間稼ぎをしよう

怒りを感じてもすぐに言葉や態度に出さないことがポイントです。

相手がいる場合反論をしないことはもちろん、「ムカつく」「腹が立つな」といった独り言や舌打ちなども控えることです。大きなトラブルに発展する事態にならないように、前頭葉が活発に動き出すまでの約6秒間は待つことでいかりの感情をコントロールしましょう。

怒りなどのネガティブな感情は、他のことに意識を向けると軽くなることが明らかになっているので、怒りから意識を遠ざける努力をすることを心掛けましょう。

“6秒くらい普通に数えられるだろう”と思いますが実際にこういう状態に置かれると、強い怒りに我を忘れてしまい、数を数えることすらできなくなるものです。

6秒間(前頭葉が活性化する)の上手な時間稼ぎ

  • 痛覚を刺激する(相手にわからないように、自分の手・足などをつねってみる)
  • 水を飲んでみる
  • 深呼吸(腹式呼吸)を2~3回してみる⇒(鼻からゆっくり息を吸い込み、口からゆっくり体の中の悪いものをすべて出し切るように息を吐く)

 

突発的な怒りを表すことなく、素晴らしい対応をした女子プロテニス選手の大坂なおみ選手は記憶に新しいのではないでしょうか。

大坂選手はテニスの四大大会である全米オープンで見事優勝しましたが、観客から酷くブーイングを浴びました。しかし準優勝の元世界女王のセレーナ選手に対して感謝とお辞儀をするなどの優勝コメントで、多くの人に感動と涙を誘う対応をしました。

ストレスでイライラが増える毎日だからこそ、十分な睡眠で前頭葉を活性化させて、イラっとしたときには6秒間の怒りのコントロールを実行し、こころにゆとりある生活を送っていきたいですね。